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木下修一 Shu-ichi Kinoshita

所属(職位)
武蔵野大学 工学部 数理工学科(准教授)
明治大学 研究・知財戦略機構 先端数理科学インスティテュート(MIMS)(客員研究員)
E-mail:kinop0124@gmail.com(@を半角変換してください)

研究について

統計物理・数理科学の視点から、生物を理解することを目標としています。例えば、「生物における意味のある普遍則の発見やその理解」、「種レベル、細胞レベルでの多様性の理解」などがそれにあたります。
現在は遺伝子ネットワーク構造が遺伝子発現に与える影響という観点から、スケールフリーネットワーク上でのランダムブーリアンネットワーク動作を調べています。これは、「細胞レベルの多様性の理解」に繋がるものです。また、空間的な揺らぎのある場における興奮波の挙動(特にスパイラル波)について調べています。このような挙動はハチの集団的防御行動としてのスパイラル波や心臓におけるスパイラル波として確認されてます。

教育について

理想としては受講者のモチベーションを維持しつつ、クリアに理解出来るようになる事を目標とする。ただし、クリアに理解出来なくとも泥臭い努力(力任せな計算など)により、数歩手前まで分かった感じが味わえると言う事の重要性も身に付けて貰う。基本的に私の講義では聞くだけでなく手を動かす機会(手で計算、プログラムを書く、コンピュータのハードを分解するなど)が多くなります。

研究

学術論文(査読有り)

  1. S.Kinoshita, M.Iwamoto, K.Tateishi, N.J.Suematsu, and D.Ueyama, "Mechanism of spiral formation in heterogeneous discretized excitable media",
    Physical Review E. 87, 062815 (2013).
    概要
    心臓表面における波の伝播や蜂の巣表面上におけるハチの防御行動などは広く興奮場上での波の伝播現象とみなせる。一方、現実の興奮場に於いては空間的な非一様性が観察される。そこで我々は実験(BZ反応系)と数値計算(FitzHugh-Nagumo方程式)の両面から非一様興奮場における伝播波の振る舞い特にスパイラル波の伝播の様子について調べた。その結果、(i)一方向からのみの波を伝播する一方向性サイトの存在がスパイラルの原因となっており、(ii)また、場の興奮性を僅かに下げる事でコアサイトの一方向性を失わせスパイラル波を制御できる可能性を示唆した。
  2. S.Kinoshita, K.Iguchi, H.S.Yamada, "Intrinsic Properties of Boolean Dynamics in Complex Networks",
    Journal of theoretical biology. 256, 351-369 (2009).
    概要
    RBNとSFRBNの振る舞いの違いの原因を見つけるために、アトラクターの性質を詳しく調べた。特に、アトラクターの構成上重要なノードで構成されるInformation Conserving Loop(ICL)の構造に注目した。また、ノイズに対する頑健性も調べた。その結果、(i)SFRBNはRBNよりも複雑なICLを持つ事が分かった。また、(ii)SFRBNのアトラクターはRBNのアトラクターより安定な事が分かった。
  3. K.Iguchi, S.Kinoshita, H.S.Yamada, "Boolean dynamics of Kauffman models with a scale-free network",
    Journal of theoretical biology. 247, 138-151 (2007).
    概要
    S.A.Kauffman(1969)は生物1個体の遺伝子数vs細胞周期の関係がベキ則に従う事を次数K=2のランダムブーリアンネットワークモデル(RBN)を用いて示し、K=2が転移点であると主張した(転移についてはその後B.Derrida(1986)が証明)。そこで、本研究ではスケールフリーネットワーク上のRBN(SFRBN)の振る舞いを調べた。その結果SFRBNはRBNと比較し(i)転移点は同じ<k>=2であるが、(ii)周期が大きい事が分かった。
  4. K.Iguchi,S.Kinoshita, H.S.Yamada, "Rugged fitness landscapes of Kauffman models with a scale-free network",
    Physical Review E. 72, 061901 (2005).
    概要
    生物の進化を考える際にはよく適応度地形(fitness landscape)の形が問題になる。そこで、本研究ではS.A.KauffmanのNKモデル(1987)にスケールフリー構造を持つ遺伝子ネットワークを導入し、適応度地形の凸凹具合を調べた。その結果、適応度地形の凸凹具合は遺伝子ネットワークの次数分布を直接反映している事が分かった。

国際会議論文(査読有り)

  1. S.Kinoshita, H.Yamada, "The Effect of Removal of Self-loop for Attractor in Cell Cycle Network"
    Unifying Themes in Complex Systems IX, 346-351 (2018).
  2. S.Kinoshita, H.S.Yamada, "Stability of Attractors in Biological Networks."
    Proceedings of International Symposium on Communications and Information Technologies 2010 (IEEE), p839-p843 (2010).
  3. S.Kinoshita, H.S.Yamada,"Attractor States of Boolean Dynamics in Complex Networks."
    Progress of Theoretical Physics Supplement, 173, 342-350 (2008).
  4. S.Kinoshita, K.Iguchi, H.S.Yamada, "Robustness of Attractor States in Complex Networks."
    AIP Conference Proceedings. 982, 768-771 (2007).

研究発表(2014年度主なもの)

教育

担当講義

2015年度

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社会活動

学歴・職歴

所属学会


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